
いう問題がそこに出てきます。あと、これは法律ですが、つまり著作権法というのが−このことについてもお話しすれば長くなるので省略いたしますが、著作権というような権利の法律も起きてくる。 このように、作曲家から演奏家に移る間にもいろいろな問題が起きてくる。今盛んに使われているアートマネージメントという言葉は、もちろんこれは一定の統一した概念というのはないわけで、いろいろな使われ方をしているわけですが、あるいはアートマネージメントというのは作曲家から演奏家に至る間のこの作業、これも含めてアートマネージメントというふうに考えていいのではないかと私は思います。 そして、そこで初めて演奏家のところに楽譜が渡ってくる。そうすると、演奏家は、その楽譜を作曲家の意向に従って、死んでしまった作曲家の場合は、いろいろな文献を調べたりなんかして、その意図を推理して演奏をつくっていくわけですが、今度はこれと同列な立場で、例えばプロデューサーですとか、演出家ですとか、舞台のスタッフですとか、もちろんピアノ弾きがピアノの独奏をするだけのコンサートなら、そういう必要はありませんけれども、オペラのようなものですとか、あるいはもっと大勢でやるものですとか、そういうようなものになってきますと、いわば各役割を分担するスタッフというのが必要になってきて、この人たちが一緒になって作業をする。もちろん、中心は演奏家ですけれども、1人では出来ない制作のチームがそこに生まれてくる。 そして、今度は演奏家と聴衆の間ですが、ここではまずホールというものが絶対に必要になってくる。どういうホールを選ぶか、何人ぐらいのホールでやるかというようなことは非常に重要な要素になってきます。これに対して、もちろん経済的な問題もそこに生じてくるわけですし、いわゆる狭い意味でのマネージメント、宣伝とか販売とか印刷というようなことをやる人がそこに生まれてきます。それから、作曲家の著作権の中に含まれる、いわば演奏家の権利といたしまして著作隣接権みたいな権利の関係も処理しなければなりません。それでやっと聴衆の方にその音楽が出ていくという構図が少しずつ生まれてきて、現代のような音楽会のシステムというのができてきたということになるわけです。 つまり、作曲家、演奏家、聴衆、この間をつないでいるいろいろな要素、現代では作曲家、あるいは演奏家といった直接的芸術家ではない物すごく大勢の人が動いていて初めて音楽会というのが成り立っているということ、それらの人々のやっていること、これがアートマネージメントだというふうに考えて差し支えないのではないかと思います。 非常に取りとめのないお話になってしまったんですが、時間が来ましたので、一応午前中のお話はこれで終わらせていただくようにいたします。どうもありがとうございました。(拍手)
○総合司会
草刈先生、ありがとうございました。
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